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関本さん、何とか見つかりました。苦労しましたよ(^_^;)。
トロツキーの『1905年』という著作に出てきます。この著作は、1905年の第1次ロシア革命の模様をドキュメンタリータッチで描いた作品で、最初ドイツ語で出版されています。そのときの題名は『革命のロシア』です。詳しくは、以下のURLをご参照ください。
見つけるヒントになったのは、ポチョムキンの反乱が1905年革命のときであることと、引用がドイツ語であるという2点です。そこで、1905年革命の過程をドイツ語で書いた著作として、『1905年』の一節ではないかと見当をつけたわけです。
さて、この著作の「艦隊反乱」という章に、くだんの文章が出てきます。若干言葉が違いますが、これに間違いないでしょう。現代思潮社版の『1905年』から該当箇所を引用します。
「叛逆精神がロシアの大地を駆けめぐっていた。何か巨大で神秘的なある過程が無数の人々の心の中に起こりつつあった。恐怖心の絆は引きちぎられ、やっと自己を意識したばかりの個は大衆の中に溶け込み、大衆は奔流の中に溶け込んだ」(トロツキー『1905年』原暉之訳、現代思潮社、1969年、197頁)。
いちばん違うのは冒頭の「叛逆の精神」が、映画では「革命の精神」になっていることですね。1909年にドイツで出版された『革命のロシア』の原文を見て見ますと、やはり「革命」ではなく「反乱」「暴動」と訳せる単語になっています(Aufruhr)。文脈的には、原訳の「叛逆」よりも「反乱」の方がいいでしょうね。ロシア語でも「反乱」「暴動」の意味の単語がきています。
あと、「恐怖の絆が引きちぎられ」が映画の方では省略されています。ドイツ語原文にもこの部分はあります(es losten sich die Band der Furcht)。
それにしても、あの有名な『戦艦ポチョムキン』の冒頭にトロツキーの『1905年』からの一節が引用されていたとは知りませんでした。そしてそれがその後、スターリン時代に、レーニンの言葉に置き換えられたことも知りませんでした。
http://www.trotsky-library.com/photo/03/russland-revolution.htm
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