戦争とインターナショナル
トロツキー/訳 西島栄・早川潤
【解説】本書は、1914年の第1次世界大戦の勃発後、トロツキーが亡命先のスイスで、この帝国主義戦争の本質と第2インターナショナルの崩壊について、マルクス主義的分析を駆使しながら執筆した記念碑的著作である。本書は、第2インターナショナル崩壊後に最も早い時期に出た革命的国際主義者の文献であり、当時にあっては、ヨーロッパ各地で分散し孤立していた国際主義者たちに明確な展望を与え、彼らを国際的に結集させる上で決定的な役割を果たした。(右の写真は当時出版された『戦争とインターナショナル』の中表紙)
この著作は最初ロシア語で書かれ、ドイツの社会主義者ラーガツによってドイツ語に翻訳された。当初、スイスで出版され、そこからドイツ、オーストリアなどのドイツ語圏へと広がった。翌年にはオランダ語版が出されている。この著作の最終章でトロツキーが提起したスローガン、「無併合・無賠償の講和、諸民族の自決権、君主制なき常備軍なき秘密外交なきヨーロッパ合衆国」は、その後、国際的な平和綱領のスローガンとなり、1917年のロシア革命においても重要な役割を果たした。
10月革命後の1918年、この著作は英語に翻訳され、『ボリシェヴィキと世界平和』と題されて世界中に普及し、日本でも各種の翻訳が出された。まだボリシェヴィキに入党していなかった頃に書かれたこの著作が、10月革命後に『ボリシェヴィキと世界平和』として流布し、世界中の人がこの著作をボリシェヴィキの基本文献として受け入れた事実は、トロツキーとボリシェヴィキとの関係に関して重大な論点を提起している。
この著作はその後、1922年に、1914〜17年における論文を集大成した『戦争と革命』と題された2冊の分厚い著作の第1巻に、部分的な修正が加えられた上で収録された。
今回アップしたのは、柘植書房から1991年に出版された『戦争とインターナショナル』を部分的に修正したものである。また、22年のロシア語版における変更のうち、当時のトロツキーの立場に矛盾しないもの(おそらくはドイツ語に翻訳する際に抜け落ちたに過ぎないと考えられるもの)については、本文に補っておいた。
Leo.N.Trotsky, Der Krieg und Die Internationale, Munchen, 1914.
序文 第1章 バルカン問題第2章 オーストリア=ハンガリー第3章 ツァーリズムに対する闘争第4章 西欧に対する戦争第5章 防衛戦争第6章 インターナショナルの崩壊第7章 革命の時代 |
トロツキー研究所 | トップページ | 1910年代中期 | 重要著作 |